こんにちは、椋 紅緒(むくべにお)です。
こちらの記事の続きです。
シリーズ最終回となる今回は、私のライフログが家族、特に重度自閉症と強度行動障害を持つ次男との生活をどう支えてきたのか。 そして、ライフログをAIで分析したことにより、ライフログが私にとってどのような存在に変化したのかをお話しします。
- 安心して任せられないという言葉から始まった改革
- 記録と振り返り:25年の蓄積が導いた「予兆」の把握
- 次男の行動分析のため記録を取り続ける
- 子供を見ているときはApple Watchで音声入力
- 専門家への提出資料作成もAIが大活躍
- AIが分析した「私の人物像」とそれで上がった「自己肯定感」
- ライフログが強力な相棒に進化した
- まとめ
安心して任せられないという言葉から始まった改革
かつて妻から言われた、「子供たちを安心して任せられないから、家族で出かけてもいつも緊張してて楽しくない」という言葉は、私の胸に深く突き刺さりました。
外出先で次男から目を離してしまったり、必要な持ち物を忘れたり。ADHDの特性による不注意が、家族の安らぎを脅かしていたのです。情けない自分に打ちひしがれました。
そこで私が取った行動は、やはり記録と振り返りでした。 ただ漠然と反省するだけでなく、自分や次男の行動を論理的に分析することに決めたのです。
それは、仕事でプロジェクトマネージャーとして培ってきた「課題解決」の手法を、家庭という最も大切な現場に適応させる試みでもありました。
記録と振り返り:25年の蓄積が導いた「予兆」の把握
私は2001年から、その時々のデジタルデバイスを使って、日常の些細な出来事を記録し続けてきました。 かつては単なる「忘れ物防止」や「日記」だったそのログは、次第に私自身の行動パターンを浮き彫りにしていきました。
- 「情弱ギャンブラー」としての自覚:根拠のない楽観視で失敗するパターンをログから特定し、決断の前に「一呼吸置く」仕組みを導入。
- 体調とメンタルの相関:気圧の変化や睡眠時間が、どれほど自分の集中力や家族への当たり方に影響するかを可視化。
この「自分を知る」ための習慣が、次男の療育という、より高度な分析を必要とする場面で最大の武器となりました。
次男の行動分析のため記録を取り続ける
次男の他害が激しくなり、専門家に相談した際、ABA(応用行動分析学)の「ABC分析」を提案されました。
- A(Antecedent:先行条件):どんな状況で
- B(Behavior:行動):どんな行動を取り
- C(Consequence:結果):その結果どうなったか
この3点を、根気よく記録し続けました。パニックの直前の気象条件、食事、睡眠、そして私の対応。これらを次男の行動ログとして蓄積していったのです。
A:絵カードで「目玉焼き・ウインナー」を要求。代わりに「ナッシュ」を提示される。
B:提案を笑顔で受け入れ、椅子に座って待つ。
C:ナッシュご飯を笑顔で食べた。
このような「成功の記録」も「失敗の記録」も、すべては次男が何を望み、何に苦しんでいるのかを解き明かすための、かけがえのないデータとなりました。
子供を見ているときはApple Watchで音声入力
すぐに過集中で子供から目を離してしまう私に、妻は「子供を見ているときはスマホを見ない」というルールを科しました。
そんな時の行動記録は、スマホではなくApple Watchでメモアプリ「Bear」に音声入力しています。
Bear - プライベートメモアプリ - App Store
iPhone側に同期された断片的なメモを結合し、1日分をまとめて妻に共有したり、Obsidianにマークダウン形式で取り込んだりしています。
もしスマホで作業が必要な時は、一時的に妻に次男を見てもらう。用件が済んだらバトンタッチする。この「交代の儀式」を徹底することで、特性による不注意をカバーし、お互いの安心感を守っています。
専門家への提出資料作成もAIが大活躍
以前は専門家へ提出するために、手作業でExcelへ転記していましたが、これは相当な重労働でした。今はAIにその整理を任せることで、大幅な省力化を実現しています。
さらにAIによる分析で、気象(低気圧)と次男の不穏状態の相関を把握したり、パニックの予兆を事前に感じ取ったりできるようになりました。
「今は注意が必要な時期だ」とあらかじめ心構えができている。この「予測可能性」こそが、家族の心の平穏を支える防波堤になっています。
AIが分析した「私の人物像」とそれで上がった「自己肯定感」
今回、25年分の全ログをAIに読み込ませて驚いたのは、AIが導き出した私への評価でした。
AIは、私の「25年間、分単位でタイムスタンプを押し続ける執念」を、「ADHDの散漫さをASD的なこだわりでハックし、家族を守り抜こうとするストイックな努力家」と定義してくれました。
自分では「失敗ばかりの情けない記録」だと思っていた25年間が、AIの視点を通すことで、「不完全な自分を認め、それでもなお家族のために立ち向かい続けた軌跡」へと書き換えられたのです。この「25年越しのメタ認知」は、私のボロボロだった自己肯定感を大きく引き上げてくれました。
ライフログが強力な相棒に進化した
2001年のザウルスから始まった私のデジタルなライフログは、ObsidianやAIという現代のツールと出会ったことで、単なる「記録の集積」から、リアルタイムに私を助けてくれる「強力な相棒」へと進化しました。
かつては「忘れ物を防ぐための備忘録」でしかなかったデータが、今では私の行動パターンや家族の安らぎを守るための「具体的な解」を導き出してくれる存在になっています。
ADHDという特性を持ちながらも、25年分の過去の「ライフログ」、そこから必要な情報を提示してくれる「AIツール」、そして常に家族とどう向き合うべきかを厳しく示してくれる「妻という名の女神」に導かれて、安心感を得ながら幸せに生き続けています。

まとめ
もし、あなたも自分の特性や環境に苦しんでいるのなら、まずは一行からでも「記録」を始めてみてください。
その欠片が集まったとき、いつかAIや過去の自分が、あなたを救う「相棒」になってくれる日が必ず来ます。
この最強の相棒たちと共に、私はこれからも、不器用ながらも自分らしい人生を前向きに歩んでいこうと思います。
シリーズ第1回はこちらです。
バラバラだった25年間のライフログをObsidianに集約して、そこからNotebookLM(AI)にソース登録するためのtxtファイルを生成するまでをお伝えしています。
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